リスニングに適した教材とは?

まずみなさんが思いつくのはNHK のラジオ講座だと思います。毎月書店に並ぶ英会話講座のテキスト。毎年4月の売り上げが突出しているそうです。

というのもほとんどの講座は4月スタート、みんな今年こそ最後まで聞き続けるぞと決意して4月のテキストは購入するのですが、最初の意志とは裏腹に忙しい日々に翻弄されて毎日聞き続けることができずに挫折してしまいます。

その証拠に5月、6月となるに連れてテキストの売り上げも徐々に減っていくそうです。

これは、みなさんの意思が弱いというよりも毎日同じ時間に座って番組を聴くほど皆さんが暇じゃないということではないかと思います。

それならばCD を買えば良いじゃないかと思われるかもしれませんが、

このCD はいくらでしょう?

NHKの語学講座のCDは1 ヶ月あたり1,580 円です。一年間買えば18,960 円にもなります。

けして安い金額ではないですね。

しかもこのテキストの内容というのは、どこかの大学の先生が考えた無味乾燥なものがほとんどです。

このような内容には、なかなか興味を持てないというのが正直なところではないでしょうか。

それでは、CNN などのニュースを教材として使うのはどうでしょうか?

CNN などのニュースはスピードも手加減なしで十分だと思います。英語を勉強している動機にもよると思いますが、ニュースの英語はあくまでも、ニュースのための英語だということです。

日本語のニュースを見てもらえればわかると思いますが、ニュース内で使われている単語は政治や経済の専門用語も多いし、ニュースは会話ではなく、一方向の情報伝達が目的なので言い回しが日常会話とは少し違います。

ニュースでどうしてもリスニングの訓練をしたいという人には、the online news hour というニュースの記事の音声を無料で聞くことができるサイトがあるので、是非こちらを利用してみてください。

http://www.pbs.org/newshour/

記事の内容と音声が完全にマッチしているので、中・上級者の音声教材としてはバッチリだと思います。

こちらの英語が早すぎるという人にはVOA(Voice Of America)
http://www.giovedi.net/english/voa.xml

のポッドキャストもお勧めです。

自分でまだまだ初級だと思う人は、音読のところで紹介した「英会話ぜったい音読(講談社インターナショナル)」で音読を徹底的に練習するとともに、付属のCDをリスニング教材として利用しましょう。

ここで登場するのがDVDを使った英語学習法です。これであれば時間に制約されずに自分が好きな時に好きなだけ勉強することができます。

音節に対する認識

本書の最初の発音のところでも少し時間を割いて説明しましたが、check it up が聞き取れないのはリエゾンだけのせいではありません。

音節に対する認識も深く関係しています。

例えば、このcheck it out はcheck とit とout の3つの音節からなる文です。しかし、多くの日本人がcheck it out をチェックイットアウト(Che -cku i .tto au .to)と6拍で聞こえると思っているために、check it out と3拍でこられると、脳が想定していたリズムと違うリズムで聞こえるので脳が違うものだと認識してしまうわけです。

ラップはリズムが大事な音楽ですから、日本人のラッパーたちがcheck it out を「チェック・イット・アウト」ではなく、「チェキラ」とするのも当然といえば当然なわけです。

なぜなら「チェキラ」であれば、 che .ki .raとなりcheck it out と同じ3音節になるので、ラップの掛け声として成立するからです。



リエゾンについて

最後に、リスニングを阻害する原因にはリエゾンがあります。これもかなりやっかいです。

では、エゾンとは何か?

少しここでお話しようと思います。

リエゾンとはフランス語で「連絡、連結、接触」の意味です。具体例を挙げると、an interesting topic(ある興味深いトピック)は、「アン・インテレスティング・トピック」とは発音せずに、「アニンテレステイlング」のように、an のn の音と、interestingの iの音が一塊に聞こえるのです。

つまりリエゾンとは、ある単語のおしりの子音とと単語の頭の母音がくっついて聞こえる現象のことです。このことを認識していないと、一生リスニング力はあがりません。

別の例をあげると、ラップで「チェキラ(もしくはチェケラ)」というのがあると思います。この「チェキラ」というのはお分かりだとは思いますが、「check it out」のことです。

このcheck it out を普通の日本人は「チェック・イット・アウト」と聞こえるだろうと身構えているわけです。

実際は「チェキラ」と聞こえるのに、「チェック・イット・アウト」と聞こえると思っていたら、野球のセーフティーバントのように、人間は予想していないものには体は自然に反応できないので、当然聞き取ることができないというわけです。

では、なぜアメリカ人がなぜリエゾンを聞き取ることができるのか?

それは、圧倒的な数の英語の文章や音声が使われる文脈とともに頭の中に大量にインプットされているため、「チェキラ」と聞こえても、それをcheck it out として認識できるわけです。

ですから、リスニングをする場合には、単語一つ、一つを聞き取ろうとせずに、内容を掴もうとするのも大事なことです。

この「リエゾン」という現象について大きな勘違いがあるのですが、リエゾンは音の現象(聞こえる現象)であって、「発音する時の決まり」ではありません。

ネイティブはリエゾンになるように意識して発音しているわけではありません。ネイティブはcheck, it, out という単語をひとつずつ別の単語として区別して発音しています。

みなさんもある程度速いスピードで英語が話せるようになると自分の英語も自然にリエゾンして聞こえるはずです。

これができると、あなたの英語もさらにネイティブっぽく聞こえるはずです。

さあ、これで日本人のリスニングを阻害している要因が全てわかりました。

要はリスニング力をアップするためには、実際にネイティブが発している音と、自分の脳がこう聞こえるだろうと思っている音をすり合わせていく作業をしていけば良いだけというのがお分かり頂けたと思います。

学校では教えてくれない英語

また、ネイティブと会話をしていて理解を妨げるのに、スラングを知らないためという場合が結構あります。

月並みなたとえですが、英語の挨拶にWhat’s up?というのがあります。知らないという人のために、説明しますが、このWhat’s up? はHow are you doing? のくだけた言い方です。

アメリカの若者のうち100人中100人が使うのに、日本語の英語の教科書にはただの一回も出てきません。

日本語でも若い人が学校に行って友達に挨拶するときに「お元気ですか?」「最近調子はどうですか?」なんて言わないですよね?

今では誰も言いませんが、一時期はやった「おっはー」だとか、男の子どうしだったら「おっす」とか外国人向けの日本語の参考書にはでてこないような表現がたくさんあります。

言葉は生き物ですから、新しい言葉や表現が生まれては消えていきます。

このような語彙や表現はDVDを使った勉強法で身に着けていくこともできますが、ディビッドセイン著の『ネイティブ会話によく出る英語スラング』や『ネイティブがよく使う英語スラング―映画・ドラマが楽し
める』を購入してみるのも良いかもしれません。

私が知っている範囲内のスラングを少し紹介します。中には少し古い物があるかもしれませんが、そこはどうか多目に。

ass 「ケツ」
ass-hole 「ケツの穴(直訳) →大馬鹿」
ass-kisser 「ごますり野郎」
ball 「セックスする」
balls 「きんたま」
bastard 「ドアホ」
bitch 「売女、畜生」
bitchy 「根性まがりの」
box 「女性の性器」
clap 性病
cockペニス
fag おかま
fuck セックスをする
fuck you! くそ食らえ!
goddamn-it! 畜生!
holy shit! なんてこった!
hooker 売春婦
horny 好色
nuts 頭がくるった奴
shit くそ、たわごと

ちなみにここで紹介した表現はリスニングを助けるためであって、みなさんが使うためではありませんのであしからず。

日本人がリスニングをできない本当の3つの理由

「あなたが英語で実際に聞こえている音と聞こえるだろうと思っている音には違いがあります。」

なぜ、実際に聞こえる音と聞こえると思っている音には違いがあるのかは、主に次の4つの理由があります。

・英語には省略形がたくさんある
・ネイティブは綴りどおりの発音をしない
・ネイティブはスラング等の教科書にはない表現を使う
・英語にはリエゾンがある。

まず、省略形についてですが、英語には実にたくさんあります。

これが以外と日本人のリスニング力を阻害しています。

以下に紹介する省略形はほとんどの人が知っていると思います。

I am = I’m
You are = you’re
You are not = you’rent
He is = He’s
She is = she’s
We are = we’re
They are = they’re
It is = It’s
That is = That’s
There is = There’s
Is not = isn’t
I have = I’ve
You have = You’ve
We have = We’ve
They have = They’ve
I will = I’ll
You will = You’ll
He will = He’ll
I would = I’d
You would = You’d
We would = We’d
He would = He’d
She would = She’d
They would = They’d
I want to = I wanna
I got to = =I gotta
I’m goint to = I’m gonna
out of = outta
give me = gimmi
'cos = because
lemme = let me
'bout = about
'em = them .in' = .ing
gimme = give me
c'mon = come onASAP = as soon as possible
d'ya = do you
ain't = am not
whatcha = what do you

僕が学生の頃は、I am とI’m は全く一緒だと教えられました。

確かに日本語に訳せば意味は全く一緒です。しかし、日常生活ではI am を使う場面はかなり限られています。

自己紹介のときにI am Tom. などといったら「俺がトムだ(文句あるか)」みたいなニュアンスにとられないとも限りません。

あまり細かいことを言っても仕方がないので、とりあえずここでは左側の非省略形が例外として使われていると理解してください。

これがわかっていないと簡単な英文すらも聞き取れない可能性があります。

また自分が話すときも省略形で話すようにしてください。

これだけでも英語に「いかにもガイジン」という感じがなくなり、ネイティブぽい英語になります。

次にネイティブは教科書どおりの発音をしていないという点ですが、例えば、Waterはイギリス英語ではウォーターですが、アメリカ英語になると「ワラ」のように聞こえます。

このような例が英語にはたくさんあります。

実は日本語でも八百屋は「いらっしゃいませ」を「いらっしゃいあせ」とか文字通りに発音していない場合が結構あります。

たとえば洗濯機(せんたくき)はセンタッキに聞こえます。だれもこの「せんたくき」の「く」をはっきり発音している人はいないと思います。

「さようなら」にしてもしかり、「さようなら」ではなく、「さよおなら」と発音していると思います。

同じようにネイティブが綴りどおり発音してくれると思っていると、リスニングを妨げる要因になります。

英語にあって日本語にない音

まず、自分の頭の中にピアノの鍵盤があると想像してみてください。英語の鍵盤が50個あるに対し、日本人の聴覚の鍵盤は25個しかないとします。

この25個で50個を処理しようとするとどうなるかというと、l とr の音がどちらも「ラ行」の音に聞こえたり(脳がラ行の音と判断したり)、bとv、fとhが同じ音に聞こえたりするわけです。

ここで、リスニング力をあげようとすれば、足りない鍵盤を継ぎ足す作業が必要になります。音読のところでも説明しましたが、僕が高校生の時代に5万円という大金をはたいてGE研という会社の「リアルリンガル」という教材を使って、足りない鍵盤を継ぎ足す作業をしました。

鍵盤を継ぎ足せば音を認識できるようになりましたが、今度はその鍵盤が増えた状態で聞く練習をしなければなりません。

鍵盤ハーモニカを今まで弾いていたのが、ピアノになったら、また一から練習しなければいけないのと同じことです。

鍵盤を増やすイコールリスニングができるようになるわけではありません。この鍵盤を増やす作業を通してやっとリスニング力を飛躍的にアップさせる素地が整ったと言えるわけです。

鍵盤が増えたのはいいのですが、鍵盤が増えただけでは解決できない問題があります。

ここで、もう一つの秘密を申し上げます。

なぜ日本人のリスニング力はここまで悪いのか?

これは発音のところでもかなり時間を割いて説明しましたが、日本人が英語を聞き取ることができない理由として「英語には日本語にない音がある」ということが挙げられると思います。

みなさんも知っている通り、例えば、l, f, v, th,などがそうだと思いますが、この日本語にない音について真剣に扱わないと、なかなかリスニング力をあげることはできません。

音読のところでも言いましたが、ここでもう一度繰り返して言います。

「自分が発音できない音は聞き取ることができない。」

聴覚の発達は0歳から10歳ぐらいまでの間に形成されるそうです。だから、小さい時にアメリカ等で海外生活した人は当然ネイティブの発音を身につけることができますし、リスニングも問題なくできます。

しかし、残念ながら中学生以上になってからは海外に住んだという理由だけでは英語は勝手に上達しません。

「なぜ父親は俺が小さい頃にアメリカ駐在してくれなかったんだ」と恨んでも仕方がありません。でも、心配しないで下さい。

その年齢にあった正しい勉強方法で適度な努力をすれば必ず英語が聞き取れるようになります。

日に日に増すリスニングの重要性

リスニング力ですが、日に日に重要性が増しているような気がします。ついに06年度からはセンター試験の英語にも導入されました。

それにも関わらずリスニング力を高める有効な方法というのはいまだに一般に広がっていません。英会話のラジオをやみくもに聴いてみたり、CNN ニュースを1日中かけっぱなしにしてみたりと、色々やっているかもしれませんが中々目に見える進歩を感じていない人がいるかもしれません。


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